仁川空港からソウル市内へ向かう。
ジェットコースターのような乱暴な運転のリムジンバス。
空港からソウルまでの約1時間でロッテワールドに行くのと同じスリルを体験できる心憎い演出。
もしくは、外国人に「情熱的な国、韓国」をアピールするための周到な国家的陰謀かもしれない。
頭がふらふらになったころ、ようやく到着。
まず友達に会った。
最初に韓国に来たとき、一緒にCOEXに行った子で、今でも仲のよい韓国の友達。同い年。

さて、今回の旅行はワタクシは一味 違う ですよ。
何が違うか。それは…色々あるんだけど、まずは1人じゃなかったこと。これ。
友達が日本から来ることになっていたわけです。
飛行機の時間の関係で空港じゃなくソウル市内で合流予定。
上の写真の友達と遊びながら待つこと数時間。
マガリ登場。

中学、高校と一緒で友達と呼べる数少ない人の一人。
タイ旅行記でも少し紹介したが、専攻が東洋哲学で神社仏閣&大仏マニア。現在は、弁護士を目指している。
神経質の典型的A型で、計算高く、何事にも保険をかけながら石橋を叩いて渡っている人生に見える。
ところがいつも微妙に何か間違っていて、結局安定していなくフラフラしてるところが大好きだ。
俺とは性格も趣味も全然違い、文化的で風流なことを好む。そういう意味では正反対の男。
ただ、根本にある価値観や考え方が極めて近いので、俺の人生には必要な男。
そんな彼と一緒に寝食を共にする3泊4日。俺は4泊5日。
彼はバイトの都合で俺より1日早く帰ることになっていた。
さあ、まずは今宵の宿!
また格安宿? ノンノンノン。
マガリはよく働く男だ。あまりお金に困っているのを見たことはない。
計画的に貯蓄もできるし、使うときは使う潔さもある。
そして俺。
NZを発つ前にカジノで少し勝ったので、今回の旅行は比較的余裕がある。
空港では3万円をウォンに両替した。前回は5万円で20日間だったが、今回は3万円で5日だ。
ふっ…余裕だね ヽ(*´∀`*)ノ
以上の理由から今回の旅館は普通レベル。釜山アジトも懐かしいが、旅行でサバイバルは嫌だ。
決して貧乏旅行が好きなわけじゃない。できればブルジョア的な旅がしたい。
さてさて、密かに旅館探しの助っ人として頼りにしていた韓国の友達。
一緒に行ってくれたら助かるなぁと思っていたがバイトがあるとのことで、ここでバイバイ。
とりあえず旅館に関していろいろとアドバイスをもらった。
彼女の話によると普通の外国人旅行者がツアーなどで泊まるようなホテルは高いらしい。
1泊8000円ぐらいするとか。うむむ。それは高すぎる。どうせ寝るだけだし。
「ビジネスホテルないの? 日本ではあるんだけど…うーん、例えば出張でソウルに来た人が泊まるような安くて狭いホテル」
「うーん…いくらぐらい出せる?」
「3000円ぐらい?」
「それなら普通の旅館だね」
じゃ、ここに行けばいいよ、と地図を描いてくれた。
彼女と別れ、軟弱日本男児2名でその目的地へと向かう。
で、到着。
うーん…(-_-;)
明らかに治安が悪そうだ。ものすごく雰囲気が暗い。
周囲を見渡せば○○旅館、△△MOTELなどなど、どこを見ても宿泊所だらけだが…。
でも、何か雰囲気が…雰囲気が…うーん…怖い。
しかしそこらへんは勢いでごまかそうじゃないか。
「外国だからこういうものだと思おう」という一般的な解決法を用いた俺たち。
「で、どこにするよ?」
「ったり~し、どこでもいいよ」
二人ともこんな男。
「面倒くさいし、ここ入ろう」
と、目の前にあった旅館に決定。
さっそくフロントへ。
出てきたのは、韓国に500万人は生息してると思われる、いつも威圧的に不機嫌そうな顔をしてるオヤジ。
その高くそびえ立った壁を崩そうと、100万ドルの笑顔で聞く。
「4泊5日なんですけど…いくらですか?(*^-^*)」
が…
「はぁ? 4泊? ダメダメ」
しっし、と犬でも追い払うように扱われた俺たち。
クーン。まあ軽く腹も立ったが…そこはアウェイの立場。我慢。きっと何か理由があるんだろう。
ただ、断られるのはいいんだけど…どうして? 何が駄目なんだろう。
外国人だからか? 危険に見える? 前回はそんなことなかったのに。なんで?
そして次のところも断られる。そして次も。

二人ともこんな(´・ω・`)顔になってきた。
と、ちょっと悲しい気分になってきたので公衆電話から友達に電話で愚痴る。
すると
「もしかしたら、4日連続とか無理かも」
うーん…またもや不可思議ワールドの始まり。
連泊無理なの?
どうしてだょ…
「そのうちOKしてくれる場所も出てくるんじゃない?」
…という優しさ半分、面倒くささ半分のケンチャナヨ精神によるお言葉により、外国人2人の不安は一応解消された。
で、その予言どおり、次のモーテルはあっさりOK。
フロントのおじさんが珍しくニコニコして人当たりが良かったのが好印象だ。
それに1泊3000円だった。1人3000円じゃなくて2人で。
おお! 1人1500円じゃないか。これはかなり安いんじゃない?
2人で、いやぁよかったね、なんて言いながらオジサンの後をついてやや薄暗い階段を上る。
「はい。この部屋ね。鍵はなくさないでね」
オジサンはドアの前で俺に鍵を渡し「アリガトゴジャイマス」と言い残して、笑顔で去っていった。
さあ、韓国旅行の幕開けだ。
プレイボールの瞬間。
ドアを開けるっ!
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夕方、南大門市場。

不思議な現象ともいえるのだが、日本人が韓国に来ると、
南大門に行かなければいけないような脅迫概念が生まれる。
理由はわからないが、そんな雰囲気を持つ南大門市場。
俺たち2人は普通の観光客面で細く、入り組んだ道を歩いていた。
すると突然、低く迫力のある声で話しかけてきた恰幅のいい老人。
「お~お、日本人ですか?」
「は…はぁ…そうですが…」
「まあまあ、お入りなさい。お腹減ったでしょう」
「おやっさん、御勤めご苦労様でした」っぽいアウトローな声。しかもかなり流暢な日本語。
うーん、誰なんだろう。入りなさいというぐらいだから店主か?
…と思ったら…何のことはない、食堂でご飯を食べていた普通のおじいちゃんじゃないか。
ともかく無視するのも何だし、話を続けることにした。
何やら見たことのない一人用のナベモノを食している老人。
「何を食べているんですか?」
聞いてみたところ
「犬だよ。犬、犬」
「い、犬?」
おおっ…。話では聞いていたけど、まさかリアルに遭遇するとは…。
老人は続ける。
「犬は健康の秘訣! ハハハ!!」
「犬を食べたら今夜はビンビン! クハハハハ!」
そう言って豪快に笑っていた。
「まあ…俺たちは今夜ビンビンでも役に立たないですけど」
なんて、言ってしまうと
談笑が始まり、犬がいかに健康に良いかということについて色々聞かされた。
で…話は弾んで3分後には
「とりあえず、食べてみようよ」
マガリが言う。
「そうね」
俺も同意。どんな味がするか興味ある。
「うん。とりあえず経験だし」
「じゃ食べるか」
マガリに関しては、初めての韓国。
それも初日。
いや、もっと言うと、韓国での最初の食事が犬。
すばらしい。
老人の隣の席に座り、さあ試食。
さて、犬だ。犬肉。人生で初めて(*´∀`*) 何事も人生で初めては楽しい。

おじいさんに色々と調味料を入れることを習う。

どうして写真を撮るのか聞く老人。記念ですよ、と答える俺。
まさかこんなHPで使われることになるとは思ってもいなかっただろう
肉はこんな感じだ。

それをちょっと辛い味噌のようなものにつけて食べる。

味は…
うーん…
硬い鶏肉 (´・ω・`)
まあ、不味くはないが、美味しくもないのが正直な感想。
しかし聞いていたよりも生臭くないので食べにくくはなかった。
この食文化に対して否定的な人もいるけど、個人的には他国の文化を尊重して考えるタイプ。
アドレナリンを分泌させて筋肉が収縮すればもっと美味しくなるという理由から、犬を棒で撲殺すると聞く。
「まあ、なんて残酷な!」とか言う人も多いらしいが、彼らも檻に入った時点から諦めてるだろうし、まあ仕方ない。
どうせ食用の犬なんだし。何を食べたっていいじゃんね。というのが俺の考え。
例えばテーブル以外は何でも食べるという中国人。その点は尊敬する。
以前中国へ旅行したときには若すぎて経験不足だった。すごいものを食べなかったことを今になって後悔してる。
再び行く機会があれば、絶対にすごいものを食べてやろうと思うのです。さすがに人間はちょっと嫌だけどそれ以外なら。
あ。中国と言えば有名な珍味がサルの脳みそ?
うん。まずいのを分かってて食べたい。それで思いっきり「まずい」と言いたい。
まだ夕方にも関わらず、焼酎の空き瓶が増える老人。
そして無理矢理飲まされる俺たち。断ることは許されなかった。
ちなみに2人ともあまり酒が飲めない上に、焼酎が嫌いときてる。
いやぁ、それにしても酔っ払った老人の昔話はかなり面白かった。60年以上前の話なのによく覚えてること。
本当か嘘かわからないが、普通に日本人の若者2人が聞いても爆笑できる内容だった。
まあ、80%はここでは書けないネタだったけどね。
なかなかフランクで空気の読める老人だった。
小さいとは言っていたけど、どこかの会社の社長だってさ。犬もおごってもらったさ。
でも数杯の焼酎で精神が破壊された俺たちは、普通にタメ口で突っ込んでたような記憶がある。
とにかく素敵な時間を過ごしたよ。
まだ生きてるのかな? 長生きして欲しい。
で、気になる話の内容だけど…。
申し訳ないけどここでは書きたくない、というか問題がありすぎて(特にエロ系)書けない (´・ω・`)
話は逸れたけど、旅行の初日は人生で初めて犬を食べながら、現地の人と触れ合うという極めて文化的に終わりました…とさ。