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Intel PRO/100+ (i82558B)レビュー


2003.03.31 (最終更新:2003.09.24)
関連項目:BOOT ROMの無効化


LANカード全景
メーカー Intel
製品名 Pro/100+(NEC製)
購入価格 \780(2002年11月:ジャンク扱い)
採用チップ Intel:i82558 B-Step
WOL端子
WOLケーブル付属 ×
ACPI対応
LowProfile対応 ×
対応OS Windows95〜XP?


ジャンクとして格安で販売されているIntel製チップ搭載のNICにも”i82558 A-step(以下i82558A)”が増えてきましたが、 最近はその中に紛れてひっそりと”i82558B”が隠れていたりします。
チップのシルク印刷の違いでi82557(白色)とi82558(茶色)の見分けは付きやすいですが、 i82558i82558Bはチップの印字色も基板の レイアウトもブラケット部も全く同じなため、チップの印字を一つ一つ見なければなりません。
また、このカードのWOL端子左のシールの文字には、少なくとも「C A2」,「C A3」,「C A4」,「C A5」の4種類があり、 これらはリビジョンを示していると思われます。リビジョンによってICチップが減っていたりコンデンサが省略されていたりと 、後期のものほど部品数は少なくなる傾向があるようです(写真はC A5のもの)。

以前紹介した82558搭載NICと同様に、このNICも「NEC JAPAN」と書いてありますので、もともとNECのPCに組み込んであった物が 流出したと思われます。
Windows2000では82558と82558Bで認識の違いはなく、 『NEC PK-UG-X006(PCI) or compatible Fast Ethernet Adapter』となりました。

2003/03/31追記:
PROSetII 6.4付属のドライバを使うと
Intel 8255x-based PCI Ethernet Adapter (10/100)
として認識させることができます。こちらのほうが細かな設定ができ、それによりパフォーマンスを向上させることが可能です。



ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

Intel製“82558B
同82558Aの後継です。正式な名前は82558 B-step
82558AではD0とD1しかWake-upに対応していなかったのに対し、82558Bでは D0, D1, D2 and D3hotからのWake-upが可能となっています。

その他の変更点についてはデータシートを参照してください。

・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは3個。
「100TX」,「ACT」,「LNK」
金属光沢が消されています。

・Boot ROM

AMD製“AM29F010”。
一枚の基板にIntelとAMDのチップが載っている光景というのはなかなか奇妙です。
1Mbit Flash Memory。

・WOL端子

形状は特殊ですが、WOL端子のようです。写真上の電極から順に
01. +5V
02. GND
03. Signal
とのことです(AE86改さん、情報ありがとうございました)。

・トランスフォーマー

TDK製“TLA-6T115”(PDF形式)
i82558Aに搭載されていた「TLA-6T112」よりは新しい型番ですが、基本的な構造は全く変わりません。

このNIC、挿すだけで 『NEC PK-UG-X006(PCI) or compatible Fast Ethernet Adapter』 として正しく認識されますが、この認識では設定項目が少なく、なおかつ通信速度に難があります。
PROSetIIをインストール時にファイルが展開される場所(C:/IntelPRO/ ←うろ覚え)に別ドライバ 『Intel 8255x-based PCI Ethernet Adapter (10/100)
がありますので、このドライバを当て直すことでより細かい設定をすることができます。
NEC PK-UG-X006(PCI) or compatible Fast Ethernet Adapterとして認識させたときの設定項目
Intel 8255x-based PCI Ethernet Adapter (10/100)として認識させたときの設定項目

上と比べて明らかに設定項目が多いです。ここで「アダプティブテクノロジ」を『オフ』にする等、Pro/100S と同様の設定をすることでパフォーマンスアップを図ることができます。


フレッツスクエアでの速度測定
フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN65044
PPPoEフレッツ接続ツール1.5E
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。




エクスプロラーでのローカル⇔リモート間ファイル転送測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCメインPC
リモートPCセカンドPC
接続形態Hub経由
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送プロトコルTCP/IP
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro 100/S
TCP/IP
(Intel:PROSet8.2)




i82558B
TCP/IP
(Intel:PROSet8.2)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

参考:
Pro 100/S

NETBEUI
(Intel:PROSet6.4)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

参考:
i82558B

NETBEUI
(Intel:PROSet6.4)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

※NIC名下の括弧内はドライバのバージョンを示しています。



データ転送時間とチップ表面温度(℃)
チップ表面温度
測定環境
ケース内温度
(測定開始時)
30.0℃
ケース内温度
(測定終了時)
30.0℃
室温25.1℃
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送プロトコルTCP/IP
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

特にIntel系のNICは、ドライバを入れた上に細かい設定をしないと本来のパフォーマンスを発揮できないということが分かりました。
OS任せで認識をさせるとかえって速度が落ちてしまいかねないので、手動で認識し直す作業が必要です。
しっかりと認識さえさせさせてしまえば非常に優れた性能を持つNICですので、多少の手間をかけても十分その価値があります。