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corega  GEther PCI-T32レビューレビュー


2003.05.06
関連項目:LGY-PCI32-GTのドライバを入れたときのファイル転送速度とCPU負荷について


LANカード「ETG-PCI」全景
メーカー corega
製品名 GEther PCI-T32
購入価格 \3479(2003年5月:リテール)
採用チップ ALTIMA (Broadcom):AC1002
Jumbo Frame ○(1500/2000/2500/3000/3500/4000)
WOL端子 ×
WOLケーブル付属 ×
AUTO-MDIX
LowProfile対応
対応OS Windows98〜XP
LINUX


coregaより発売された、Broadcom製“AC1002”搭載の低価格ギガイーサネットカード。
同チップ搭載のNICとしては、メルコよりLGY-PCI32-GTがあります。
基板のデザインはほとんど同じですが、コンデンサー数やEROM(?)に違いが見られます。発売時期から考えると、こちらのほうが新型の基板を 採用しているのではないでしょうか。

対応PCIバスは32bit 33MHzになります。WOL端子はありませんが、PCI2.2に対応しているので、LOMによるBootが可能です。
供給電圧は3.3V,5V,最大消費電力は1340mAですから、4W以上の電力をNIC一枚で消費する場合があるということになります。
消費電力の増加は発熱量にも関わってきますので、LowProfileブラケットを使用して省スペースマシンに組み込んだ場合は、それなりの熱対策が 必要になるかもしれません。



ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

ALTIMABroadcom)製“ AC1002
ワンチップ型ですが、他のGbEコントローラーチップに比べるとサイズが大きめです。
32bit PCIまでの対応で、48KBのPacket Bufferを内蔵し、PCI2.2に準拠しています。
また、消費電力は3W以下という記述がありますが、100Base-TX対応NIC一枚の消費電力が1Wを切る中で3Wという値は、まだまだ低いとは言えません。
GbE通信時の発熱量は半端ではなく、うっかり触ると確実に火傷を負います。


・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは4個。
「ACT」,「10M」,「100M」,「1000M」

・トランスフォーマー

DELTA製“LF9203”


フレッツスクエアでの速度測定

フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5E
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。





100Base-TX環境下でのファイル転送について


エクスプロラーでのローカル⇔リモート間ファイル転送測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (測定NIC)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態Hub経由
プロトコルTCP/IP / NETBEUI
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/100 S
NETBEUI
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GEther PCI-T32
NETBEUI
(corega:1.0)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷
Pro/100 S
TCP/IP
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GEther PCI-T32
TCP/IP
(corega:1.0)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷





TCP/IP Checksum機能について


LGY-PCI32-GTではTCP/IP Checksum機能がデフォルトでONになっていますが、このNICはデフォルト設定でTCP/IP Checksum機能 が「None」・・・・つまり、オフになっています。
Pro/1000 MTでは効果が認められませんでしたが、TCP/IP Checksum機能は通信速度の向上に貢献すると言われていますので、 以下の測定ではこの機能をオン(Tx/Rx TCP/IP Checksum)にした場合とオフ(None)にした場合とで比較を行ってみました。





GbE環境下でのファイル転送について


GbEでのローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GEther PCI-T32)
リモートPC2nd PC (Pro/1000 MT)
接続形態クロスケーブル直結
プロトコルTCP/IP
接続速度1000Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量1.0GB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/1000 MT
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GEther PCI-T32
(corega:1.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷



TCP/IP Checksum機能をオンにした場合、Remote → Local(Download)の転送で、明らかな通信速度の向上が認められました。




データ転送時間とチップ表面温度(℃)

チップ表面温度
測定環境
100Base-TX1000Base-T
ケース内温度
(測定開始時)
31.1℃28.8℃
ケース内温度
(測定終了時)
31.1℃29.2℃
室温25.2℃24.3℃
接続速度100M1000M
転送プロトコルTCP/IPTCP/IP
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

1000Base-Tのリンクが確立しただけの状態で80℃を超える発熱っぷりは、当然ながらPC内部の温度上昇をもたらすことになります。
LowProfileブラケットを使用して小型PCに組み込む場合は、熱対策をしっかりしないと危険かもしれません。 また、カード全体の温度も上げることになりますので、安い電解コンデンサーの寿命が短くなり、 ある日突然焦げ臭い薫りと共に破裂することでしょう。

性能面を見ると、100Base-TX環境ではなかなか優秀な成績です。
しかしこのカードの価格でPro/100 Sが購入できるので、100Base-TXのみの環境で使用するのであれば購入する意味は無いでしょう。

GbE環境ではPro/1000 MTと同等か、それ以上の成績を出していて、性能的にはメルコのLGY-PCI32-GTと 同等でした。
ただし、IP Checksumの設定を有効にしないと1000Base-T環境では性能を十分に発揮できないようです。
ドライバの設定項目はGEther PCI-T32の方が多いので、どうしてもAC1002搭載NICを購入したいのであれば、後発でもあるこちらのNICを 選んだ方が無難でしょう。