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IO DATA EX/TX-PCIレビュー


2003.03.11 (最終更新:2003/10/17)

LANカード全景
メーカー バルク(ID DATA?)
製品名 EX/TX-PCI(カード貼付シールより)
購入価格 \499(2002年8月)
採用チップ SMC:
WOL端子
WOLケーブル付属
ACPI対応 ×
LowProfile対応 ×
対応OS Windows95, Windows98, WindowsNT 3.51/4.0
Mac OS 8
その他不明


以前から秋葉原で大量にバルク品として流通しているこのLANカードですが、ツクモ電機ではある程度しっかりパッケージしたバルク(ジャンク?)品として販売して います。7月初旬に見かけたときは\980だったのですが、このたびついに\500を切ったので購入しました。
ドライバも丁寧にツクモのサーバーにアップしてあるので、とてもバルク(ジャンク?)とは思えないような扱いです。

で、このカードですが、2箇所ほど製品の名称を示すようなシールが張ってあります。それによると、OEM元はSMCで、型番はどうやら「EX/TX-PCI」らしいということが判りました。
しかもこの型番の付け方、IO DATAっぽくないですか? ということでもう少しよく調べたところ、ブラケット部に堂々と「IO DATA」の刻印してあるのを発見。
しかし残念ながらこの型番の製品紹介ページが無く、見付かったのは一文字違いの 「ET/TX-PCI」,もしくは 「ET/TX-PCI-TU」でした。
両方ともMacOS8以降に対応しているようなので、この製品もきっとMac対応なのではないかと睨んでいます。
IO DATAのサポートページ内からET/TX-PCIのドライバのダウンロードページ を見つけましたが、このドライバが正しいかどうかは不明です。



ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

SMC製のネットワークコントローラー。マーキングは”83C172ABQF”。
Win2000では標準ドライバで「EtherPower II 10/100」として 認識されたので、チップの正式名称は”SMC9432”と考えられます。”SMC83c170”系列のチップです。
このチップは論理層であるMAC層までしか内蔵されていないので、別途PHY層のコントローラを取り付ける必要があります。

ドライバについてですが、SMC社サポートページから、
STEP1:「PC Connectivity」
STEP2:「SMC9432TX」
STEP3:「Drivers -- Windows Drivers」

と選択することで「9432Win.zip」というドライバがダウンロードできます。もしかしたらこっちのほうがツクモサーバーにあるものより良いかもしれません。

・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは4個。
「I/R」,「LNK」「FDX」,「100」

写真一番右には「IO DATA」の刻印がくっきりと確認できるので、やはりIO DATAの製品であることは間違いないようです。

・WOL端子

基板が一番細くなっている部分にあるので、取り付けは慎重にしたほうが良さそう。
PCIスロットに挿したままWOLコネクタを引き抜いたりしたら折れてしまいそうです。

イーサネット・トランシーバ(PHY層コントローラ)

ALTIMA製Ultra Low Power 10/100 Ethernet Transceiver”AC101-TF
現在使用されているようなネットワークコントローラーではほとんどがワンチップ型なので、物理層までのコントローラが内蔵されています。
しかしこのSMC9432ではMAC層までしか内蔵されていないので、このようにPHY層部分を外部に配置しなければなりません。

・トランスフォーマー

おなじみDelta製“LF8271”(PDF形式)

このカードを用いてONU直付けでフレッツスクエアに接続し、速度測定を行いました。



測定ミスではないです。3回測定しましたがこの値でした。
そこでNICの状態を確認してみると、認識したときは100Mbpsだった接続速度が、10Mbpsになっていました。
NICのプロパティで接続速度を「100M Full Duplex」に設定して再接続。


すると今度は接続できません。


何回やってもこのように「サバー=-=-=-=-=-にコンタクトします」のまま先に進まなくなり、この後に



と表示されてしまいます。
SMC社からダウンロードしたドライバも入れてみましたが、同じく「EtherPower II 10/100」と認識され、上と症状は変わりませんでした。

これはもしかしたらBフレッツ接続ツール関係の不具合かなと思い、同じくIO DATAのWeb内を探したところ、ありましたありました。
http://www.iodata.co.jp/support/info/lan/lanadsl.htm
このページによると、この製品は最新ドライバを使わないとフレッツ接続ツールで認識されない不具合があるようです。 それで10Mbpsになってしまっていたんですかね。

というわけで、このドライバを入れてリトライしてみることにします。

IO DATAからダウンロードしたドライバには「ET/TX-PCI」と、 「ET/TX-PCI-TU」のドライバが入っていましたので、両方とも試してみました。
その結果、僅かながら「ET/TX-PCI-TU」の方が速い気がしましたので(恐らく測定誤差だと思いますが、とりあえず)、こっちを使って他のカードと同様の測定を行いました。
これ以降はカード名を「偽ET/TX-PCI-TU」と表記させていただきます。



フレッツスクエアでの速度測定
フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN65044
PPPoEフレッツ接続ツール1.5D
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。




speed.rbbtoday.comでの速度測定
RbbTodayでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5D
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。




Studio Radishでの速度測定
Studio Radishでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5D
※測定品質90以上のデータの平均値を、それぞれのNICについてグラフに示した。




エクスプロラーでのローカル⇔リモート間ファイル転送測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCメインPC
リモートPCセカンドPC
接続形態Hub経由
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro 100/S
TCP/IP
(Intel:PROSet8.2)




EXTX-PCI
TCP/IP
(IO DATA:1.30)
Download時CPU負荷

Download時CPU負荷

参考:
Pro 100/S

NETBEUI
(Intel:PROSet6.4)




参考:
EXTX-PCI

NETBEUI
(IO DATA:1.30)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷



データ転送時間とチップ表面温度(℃)
チップ表面温度
測定環境
ケース内温度
(測定開始時)
30.6℃
ケース内温度
(測定終了時)
31.1℃
室温22.8℃
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送プロトコルNETBEUI
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。



総合評価

ドライバ周りで不具合が発生していることも考えられますが、NETBEUI,TCP/IP通信ともに、Downloadは60Mbps程度で頭打ちとなりました。 Uploadでは不具合はみられないものの、CPU負荷は高めのようです。
「おもしろい形だから」,「安いから」といってうっかり購入時すると痛い目を見る予感がします。