NIC MANIA > LANカードレビュー > 3C905CX-TXM


3COM 3C905CX-TXM レビュー


2004.02.24

LANカード「3COM 3C905CX-TXM」全景
メーカー 3com
製品名 3C905CX-TX-M
購入価格 \1280(2004年1月:ジャンク品として)
採用チップ 3ocm:920-ST03
WOL端子
WOLケーブル付属 ×
AUTO-MDIX
LowProfile対応 ×
対応OS Windows全て
Novell NetWare 3.12 and 4.x
OS/2 Warp Server
SCO Open Server 5.0


天下の3com製3C905CX-TXM
3comサイトにはこの型番が無く、代わりに 3C905CX-TX-M3C905CX-TX-NMの情報があります。 恐らくは『-TX-M』がこれの同等品で、『-TX-NM』はこれのWOL無し版と思われます。

このNICに搭載されているコントローラーチップ『920-ST03』ですが、一部のADSLモデムやケーブルモデム,ルーターでリンクが確立しない,リンクしにくい, 速度が極端に遅い等の不具合があちこちで報告されてます。
NTT東日本によると、 『ADSLモデム→イーサネットアダプタ方向のパケットが正常に受信できず通信が確立できない。 このため、接続を確立できない、又は確立できてもスループットが数10kbps程度しかでない。』 とのことです。
この不具合は3com製最新ドライバで修正されていますので、ひとまずは最新のドライバを用意してから PCに挿してみることをお勧めします。
また、スイッチングハブを経由させることで不具合を解消できるかも知れないとのことです。

外見的なもので面白いのが、一見した限りではトランスフォーマーが見あたらない点です。
3C2000-Tでもそうですが、この製品ではトランスフォーマーがRJ45コネクタと一体化しています。
この手のトランスフォーマー(RJ45コネクタ)を採用しているNICは今のところ3comしか見たことがありません。恐らくは別々にしたほうがコスト的に有利なのでしょう。

なお、WindowsXPデフォルトドライバでは「3com Ether Link XL 10/100 PCI For Complete Managagement NIC」として認識されました。

OS標準ドライバでの認識-1
OS標準ドライバでの認識-1
OS標準ドライバでの認識-1
OS標準ドライバでの認識-2



ネットワークコントローラーチップ

・コントローラーチップ

3Com製“920-ST03”。
同じく3Com製の”3c905”互換で、これを省電力化,小型化したものです。チップの発熱は以前より押さえられています。
安物なのに「3Com製チップオンボード」を謡う製品には大抵これが搭載されています。

ところでこの920-ST03は3com製のなかでも非常に評判の悪いチップで、一部のADSLモデムやルーターでリンクが確立しない/しにくい,速度が極端に遅い等の現象が多数報告されています。 原因はADSLモデム等のLANデバイスの物理層と、920-ST03の物理層との相性の問題で、ADSLモデム等からイーサネットアダプタへ向けたパケットが正常に受信できないためです。
この不具合は3com製最新ドライバで修正されていますので、上記のような症状が見られたときにはドライバのバージョンを確認することをオススメします。


・BOOT ROM

SST(Silicon Storage Technology, Inc.)”製 “39VF512”。
64K×8 = 512KbitのFlash ROMで、2.7V,70nsものです。

・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは2個。「ACT」は単色LEDで、「GRN/10」,「YEL/100」には2色LEDが使われています。

・WOL端子


・トランスフォーマー

Bel Fuse製 “S811-1X1T-A4”(pdf形式)。
RJ45ジャック一体型です。


フレッツスクエアでの速度測定

フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5E
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。





100Base-TX環境下でのファイル転送速度とCPU負荷測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (IBM Netfinity..)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態Hub経由
プロトコルTCP/IP
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/100 S
TCP/IP
(PROSetII:8.2)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

3C905CX-TXM
TCP/IP
(WinXP標準:3c905c)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
3C905CX-TXM
TCP/IP
(WinXP標準:3c920)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
3C905CX-TXM
TCP/IP
(3com:4.31.0.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷





データ転送時間とチップ表面温度(℃)

チップ表面温度
測定条件
ケース内温度
(測定開始時)
26.0℃
ケース内温度
(測定終了時)
26.1℃
室温24.1℃
接続速度100Mbps
転送プロトコルTCP/IP
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

3comらしく負荷は低いのですが、3C905B-TXと比べると通信が不安定に感じました。
また、WindowsXP標準ドライバではDownload速度に難がありました。3com提供ドライバに変更したところ通信速度は戻りましたが、負荷が高くなってしまいました。
基板や細かな電子部品はしっかりしていますが、実際に使ってみるとこの製品にはいつもの“3com製品らしさ”が感じられません。
これを選ぶのなら3C905B搭載NICのほうが安心して使えそうです。