搭乗。タプスンハムニダ!

ざわざわ…周りを見渡すと…おばさん、おじさんのビッグウェーブ。
母亀が涙を流して生んだ卵が孵化し、赤ん坊が星のごとく広がる月下の砂浜。
足を懸命にパタパタさせながら、目も見えないのに海へ帰ろうとするのだ。本能的に。
そんな荘厳な図を脳裏に映し出す中年韓国人たちの数。レインボーブリッジ全然封鎖できません。



この飛行機の中で3番目ぐらいに若かったかもしれない27歳の春。
とりあえず飛行機はアムステルダム経由でパリ行き。俺、アムステルダムまで。



とにかく確認した限り99%韓国人と言ってもよかった。
隣のおばさんに聞いたところ、パリ7日間『花の都ツアー』に参加するとのこと。今日も元気に大韓航空。



エクスキューゼモア、これは国際線のはずだよセニョール。
これじゃまるで空気の読めないおやじが多数参加している、町内会のイチゴ狩りバスツアーみたいな感じじゃないか。
隣のおっさんとかヘッドホンで演歌を聴きながら、こぶしを利かせて歌ってる始末さセニョリータ。
横に座る奥さんも「あなた、ちょっとやめなさいよぉ」とか言いつつも、手でリズムをとっている。。
前のおっさんは韓国人のスチュワーデスさんにコーヒーをすすめられれば
「ノーテンキュー、ナッ コピ アイ ウォント ウヮタ」とかなぜか英語さベイベー。
そんな浮ついた空気の中、順調に飛行は続いていた。


うっしゃ! 機内食のビビンバ~ヽ(*´∀`*)ノ



数年ぶりのチューブコチュジャン。
豆を割り箸で違う皿に移し変える競争に人生をかけていた小学生時代を彷彿とさせるスピードで、憎らしいキュウリとシイタケを除去。
そしてチューブからブリブリっと、コチュジャンを他の人の半分ぐらい入れて高速で混合。
光速で食べ終えると、ガラパゴス諸島に生息する古代ハ虫類みたいなスチュワーデスのお姉さんに微笑と共におかわり申請。
大韓航空専用の辛ラーメン。パッケージは特別だけど、味は同じだ。
上空数千メートル、ものすごい速度で移動中もやっぱりまだまだヨーロッパの香りはしないさ、チャルモゴッスムニダ。マシッソヨ。



やがて飛行機は急降下。ちょっとした衝撃と共に到着。オランダ。アムステルダム。
アムス・テルダムなのか、アムステ・ルダムなのか、アムステル・ダムなのか悩んでいた中1の頃の俺。
同時にクアラ・ルンプールなのか、クアラルン・プールなのかも大きな謎だったが、今回の話とはあまり関係ない。

旅行直前の旅行会社。よっしゃハンガリーに行くぞ、と決めたものの直行便は_| ̄|○アフン 異様に高い。
「えっと…安ければヨーロッパの都市ならどこでもいいです」と急に弱気になる俺。
そうリクエストしたところ、マリアナ海溝に生息する深海魚みたいなお姉さんは、この便をお勧めしてくれた。
積極的にオランダに行きたかったわけでもないが、安かったので即決した。



アムステルダムでの2枚の写真。

アムステルダム経由でパリへ飛ぶ、ブルジョアツアー参加者たち。



アムステルダムで降りる人たち。



_| ̄|○


いるならいるで、うるさいなぁとか思うんだけど、いなくなると急に寂しくなるものさね。
ちょっぴり孤独感にさいなまれる27歳の春。オランダにスギ花粉は飛んでいない。



おっとっと、と素敵な出迎えにより機内で過ごした11時間の疲れも吹き飛ぶ。さあ、市内へ。




初めてのヨーロッパ。なんか写真で見たことのある景色が目の前に。
おそらく欧米人が京都とかに行き、神社や寺院を見て「おお、ビューテホー」と感じるのと同じように、
西洋式の建物を見て「へぇ~」と軽く感動するのは実家の隣が寺、というロケーションで育った俺。



キレイ(ο・д・)(・д・`ο)ネー



いや確かに風景的には美しいのだけど、そんなところに興味を示すタイプじゃないので…
30分ぐらい街を散策してわかった俺なりのアムステルダムのキーワードは、マリファナとエロ。



とりあえず全国の健全なAVファンのために報告しておくと、森下くるみと山咲あかりはオランダで3次元的に活躍している模様。






お腹すいた(´・ω・`)




ここでヨーロッパ初の食事。
体力をつけようぞ、とステーキ注文。1500円。それでも一番安いメニュー。サラダとポテトもついていた。



美味しかったヽ(*´∀`*)ノ




でもコーク。いやPSVの彼じゃなくて、コカコーラ。高すぎですよ。
これが400円だと分かったとき、突発的に目の前のフォークとナイフで自殺しそうになった。



夜は長い。

旅行者を演じたい時分。おしゃれなカフェに行ってみちゃったりもした。
んー、っていうかオランダ語ってなんとか分かるもんですね。読む分には。
コーヒーが飲めないお子様としては、やっぱりホットチョコ命。
ここオランダでは、「われめ ちょこらでめるく」でした。AVのタイトルみたいだ。アムステルダム、どこまでもエロ路線。



来ました。



ちょっと気になっていた通り「ホット」じゃなくて「ウォーム」と、ぬくぬくしたチョコでした。


宿所。ヨーロッパは物価が高いというのは本当でしたよ。
3000円程度じゃ、こんな囚人みたいな部屋でしか寝泊りできません。



写真だと見えないけど、実際にはあと1つベッドがあって8人部屋。
結局は俺1人を除いて残り7人は全部女性という鼻息ウハウハのハーレム状態になる。
だけどもちろんそんな余裕はなく、すっごく気を使い、寝たふりまでする小心者。

翌朝、極めて性格の悪そうなフランス人ギャル2人組と朝一で不覚にも目が合ってしまったので
知っているフランス語会話の90%を全力投入。
「ボンジュール サヴァ?」言ってみた。これが、発音がおかしかったのかかなりウケてた模様。
初めて話す言葉が、その国の人に通じるってのはなぜか嬉しいもんだ。

昔、新宿で外国人に英語で道を聞かれたことがあった。教えてあげたら最後に彼は
「メルシィ」と言うではないか。
おお!メルシーだよメルシー、と微妙に興奮したのを覚えている。
数年前の出来事だけど初のリアルでのフランス語を聞いた瞬間として思い出となっている。
というわけで、ソウルで
「コンニチハ~あなたはニホンジンですか~」と話しかけてくる人に対して
これからはウザがらないようにしようと心に決めた俺だった。

軽く人間的に成長した、そんなアムステル・ダム。